2006年12月26日 [学会からのお知らせ]

田付会長退任挨拶

舵取りに不安を感じながらスタートしたが、あっという間の2年がたとうとしている。早くも行く手に中継所が見えてきた。この間、執行部、評議員会、各種委員会、そして会員と事務局の皆様の絶大な協力をいただいてここまで来られた。この先ころぶことがなければ何とか無事に次期執行部にタスキを渡せそうな状況になったところで、まずは皆様に本当にありがとうございましたと申しあげたい。

私は今期発足時の挨拶ではとくに「公約」のようなことは述べなかった。しかし、挨拶に基づいて今期の基本方針として次の5つのテーマを掲げた。

  • (1) 学会改革の定着とさらなる発展
  • (2) 財政の改善
  • (3) 会員の意識向上
  • (4) 社会貢献
  • (5) 50周年記念事業

これらを中心に執行部では一致団結して活動を行ってきたが、もちろん、うまく進んだものもあれば、進展せず次期に引き継いでいただかざるを得ないものもある。今期の終了を前に各項目ごとに正直に総括してみたい。

(1) 学会改革の定着と更なる発展

これまでの改革を今期はさらに普及・定着・発展させようとした。役員選挙規定をはじめとする諸会則の改正作業は順調であった。学会誌改革では前期最後に決まった改革方針で電子投稿が可能になったことにより投稿数が激増し、会誌編集作業は予期せぬ困難に直面した。抜本的対策はJ-STAGEのシステムを活用するなど編集体制の大幅な変更しかなかったが、不可能と思われるほどの膨大な作業をこなすことで精一杯であり、とてもそこまでの余力はなかった。編集作業に当たり非常(情?)な尽力を強いられた方々に心からお詫びとお礼を申しあげたい。会員制度に関しては、新たに「OB会員」の設定が話題となった。これは現役を退いたOBにも継続して会員に留まっていただき、諸活動に参加していただけるようにしたいとの考えに基づいており、本年9月の評議員アンケートでも賛成意見が多かった。

(2) 財政の改善

応動昆財政は特別会計の存在から「豊かである」ように見られてきたが、実際にはかなり以前から赤字になるかならぬかのぎりぎりのところでやりくりしてきた。近年はいっそうのコスト削減に務め、今期でも会議費、事務経費、学会誌発行経費などに関係者の努力で大幅な節約がなされ何とか健全財政を保ってきた。ところが、ここに来て毎年配布を受けてきた科学研究費補助金の行方がにわかに不透明になった。万一配布を受けられなくなればただちに赤字転落の危機だ。ずっと先延ばししてきた会費値上げを真剣に検討すべき時になった。評議員アンケートでも会費値上げは避けられないだろうとの意見が大勢を占めたが、いかにして会員に納得される値上げをするか。今期は重い課題を残してしまった。

(3) 会員の意識向上

電子広報委員会が中心になり若手会員の積極的な協力も得てIT化が引き続き進んだ。学会ウェブサイトは本年3月に全面リニューアルされ内外へのアピール力が強化された。常評ML、評議員広報、お知らせメール、などで相互の連絡・審議は大幅に効率化された。また、応動昆のロゴマークが公募され、すばらしいロゴが決まった。以上の状況は若手会員を含めて会員の意識向上に貢献したはずである。しかるに、今年の役員選挙での投票率は前回をさらに下回った。これにはPR不足もあるが、まだまだ意識向上への努力が不十分であることを自覚せざるを得ない。私としては学会活動の要である学会誌や大会のあり方についての抜本的な検討が十分に行なえなかったことが反省点として残る。

(4) 社会貢献
(5) 50周年記念事業

これらは一括して総括する。今期の最重要課題とも言えるのが、応動昆創立50周年記念事業であった。これについては今期発足直後から執行部で熱心な検討が開始され、2005年度総会では「50周年記念事業実行委員会」の設立が承認され、同年7月には第1回会議が常評と合同でもたれた。以後、岡田斉夫委員長のもと、全国の会員から選ばれた委員に執行部との連絡を保ちつつ実際の事業内容の検討をしていただいた。その結果、2006年度大会時に、つくば国際会議場において公開の記念式典と記念講演、パネルディスカッションが成功裏に行われたのを皮切りに、同年の夏休みには茨城大学農学部の多大なご協力により、小中学生を対象とした「夏休み昆虫教室」が3度にわたり開催されて好評を得た。さらに、すでに数年前から「農林有害動物・昆虫名鑑編集委員会(安田耕司委員長)」が中心となり発刊に向けて尽力されていた「農林有害動物・昆虫名鑑(増補改訂版)」を50周年記念出版物として会員に無償配布できることになり、同年7月刊行と同時に配布された。

以上のうち、とくに「夏休み昆虫教室」はおそらく応動昆が創立以来初めてとりくんだ一般向けの企画であり、今後はこのような形の社会貢献も考えていく必要があると思われる。また、現在、電子広報委員会によって一般向けの学会ウェブサイト(「応動昆ポータルサイト」)の公開準備中であり、そこでは学会の紹介、会員の研究紹介やFAQが予定されている。ただし、そのような活動の必要性は十分認めるとしても、学会の社会貢献のあり方としてはセミナー、シンポジウムなどによる研究活動の報告や紹介のほうが重視されるべきであり、その面で今期は十分に検討しきれなかったことを反省している。

以上、今期を振り返ってみると最初に私が期待した以上に強力な執行部と有能な事務局に支えられての2年間であった。これらの方々には気安さからかなり無理なお願いをしたことも多かったかと思うがどうかお許しいただきたい。さらに上に述べた多くの方々はもちろん、そのほかにも本当に多くの会員の皆様に様々な形でのお力添えをいただいた。これら全ての皆様に改めて厚くお礼申しあげる。

(2005-2006年度日本応用動物昆虫学会会長 田付 貞洋)

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